幼少期に苦労を経験。不動産は幸せのツール。だからこそ、知らないことで起きる不幸をなくしたい。

幼少期に苦労を経験。本との出会いが不動産業界のきっかけになった

じつは私、31歳のときに、本名を改名した過去があります。両親が付けてくれた名前に、「男性なのに女性らしい名前だ」と揶揄われていじめられた経験があり、私にとって名前は大きなコンプレックスだったのです。

また、父が事業に失敗したことで、非常に貧しい家庭環境で育ちました。隣の同級生宅から、談笑している声が聞えるたびに、「家が1軒違うだけで、こんなにも家庭感が違うのか」と、マッチ売りの少女のような心境でしたね。こうした生い立ちもあって、幼少期は辛く暗いものだったため、大人になっても自分に自信が持てず、どこか人生を諦めていました。

転機があったのは、26歳の時。当時、大好きだったミステリー作家の小説を買いに、ふと立ち寄った本屋にて、平積みされていた一冊のビジネス書を手に取り読んだことがきっかけで、ビジネス書にハマりました。そこから、自分の自信を取り戻し、人生を仕切り直すために、環境は厳しくとも結果がわかりやすい不動産業界に飛び込んだのです。その後、約10年間の経験を積み、会社員と並行しながら賃貸経営をおこない、「もっとお客さんの役に立ちたい」と考え独立し、今に至ります。あの日ふと出会った一冊の本のおかげで、最高の仲間、最高の家族、そして自信ある最高の自分を手に入れることができました。今でも、本の存在には感謝しかありませんね

不動産の目的は「幸せになること」。興味があるのは、お客様の人生そのものです

日々意識していることは、「人生の目的」をお伺いすることです。この質問をすると、ほとんどの方が「考えたことがなかった」とお答えされます。お客様は誰しもが、様々な理由で住まいのご相談にお越しいただきますが、つまるところ、「幸せになるため」に不動産の売買を選択されていると私は考えています。ですから、どんな人生を実現されたいのか、あれこれお伺いしながら、人生の目的が実現できるようなサポートを心がけています。

不動産の売買は、その性質上、一度限りのご縁となることもあります。そのため、お金とサービスだけで繋がっている会社や営業マンをたくさん見てきました。しかし、私が実現したいのは、仕事を通じて友人となり、一生涯の付き合いをすること。だから、興味があるのは「お客様の人生そのもの」なのです。お客様の人生が、ただただよくなってほしい。そう願うからこそ、仕事の損得なしに、子育てや夫婦関係の本やビジネス書を差し上げたり、一緒にセミナーにも参加したりしています。そんなことをしていたら、転職や人間関係の相談を受けるようになったり、登山やマラソンを一緒にさせていただくお客様や、家族ぐるみで仲良くさせていただいているお客様も増えてきました。会社の利益が増えることよりも、そうした人生の財産と思える関係が増えることの方が、私にとっては何よりの報酬だと思えますね。

聴覚障がいをお持ちのお客様に、筆談で対応。困っている人に寄り添いたい

これまで関わらせていただいたお客様の中でも、特に印象に残っているのは、10年前にお取り引きさせていただいたお客様ですね。

出会いのきっかけは、FAXでお問い合わせをいただいたことでしたが、そのお客様は耳が全く聞こえないため、話すこともできない方でした。それが理由で、他の不動産会社で軒並み断られてしまい、私の働いていた会社に行き着いたとのこと。とても辛い思いをしてこられたのだと思い、私が力になれるならと、引き受けさせていただきました。ご両親にも同席いただきながら、やりとりは全て筆談。会話ができないという条件下で、しっかり意思疎通ができるかどうかが、一番の心配でしたね。大事なことは何度も確認し合い、ゆっくりと時間をかけながらやりとりを進めることで、最終的には念願のマイホームをお選びになられたのです。

じつはこの後、同じ障がいを持つ別の方からご相談いただきお手伝いをさせていただきました。このお二方をきっかけに、障がい支援に関心を持ち、今は障がい者の自立支援にも取り組んでいます。私もたくさん苦労してきたので、辛い状況に悩まれている方を見ると、放ってはおけません。私にできることは、ほんの小さなことかもしれませんが、それでも何かできることがあるなら、少しでも役に立ちたいと思っています。

「知らないことで起きる不幸」をなくすために、お客様とのビジネスの枠を超えた関係をもっと増やしたい

今後の目標も、やはり不動産を通じた友人づくりです。お伝えした通り、私の生い立ちは決して恵まれた環境ではありませんでした。それが、この仕事を通じ、人生がとても豊かになりました。元を辿れば、私が独立をしたのも、サラリーマンとして会社の利益を第一に考えるのではなく、お客様を第一に考えながら仕事をしたい！と思ったことが、1つのきっかけになっています。

不動産を取り巻く環境は、決して優しいとは言えません。多くの人にとって、不動産購入は非日常な出来事ですから、プロとの情報格差は大きいです。そのため、結果として不動産にまつわる「知らないことで起こる不幸」をよく耳にします。不動産は生活の基盤であり、人生を豊かにする大切な財産。だからこそ、私は対営業マンとしてではなく、友人として、お客様の人生をサポートしていきたいのです。おかげさまで、信頼あるお客様からご紹介をいただくことも多くなったので、これからもビジネスの枠を超えた人と人との関係性を、もっと増やしていきたいですね。

また、新しい取り組みとして、子育てや夫婦関係、資産形成などをテーマにしたセミナーを行いたいとも考えています。お客様とのお話の中で、こうしたテーマに悩むご家族を多く見てきました。仲間内では定期的に勉強会をしているので、その経験を元に何かをお伝えできればいいなと思っています。