「不動産業の社長っぽくない」自分らしさが強み
昔も今もご縁を大切にしています

大工の父を持ち根っからの家好き、ご縁に導かれ不動産業へ

小学生時代の夢は「サラリーマン」。大工の父をはじめ周囲に職人が多かったため、スーツに憧れを抱いていたんです。一方で、何らかの形で住居に関われる仕事をしたいとも思っていました。中学時代に父が自宅を建て替えると言い出し、家族で建築工事を行ったんです。自室にほしいものを自ら設計して父に作ってもらうなど、家や家具作りが身近にあった子ども時代でした。

高校卒業後は学生社員制度を利用し、スーパーマーケットで働きながら東京の専門学校に進学。不動産業に入ったきっかけは、校内の就職情報コーナーで出会った50代くらいの女性です。何の仕事をしたいのか問われ、家に関わる仕事がしたいと答えたところ、知り合いの不動産業の社長さんを紹介していただけました。人と話すのが得意なわけではなく、適性があると思えたわけではありません。しかし、接客業で慣れつつあったことに加え、昔から人との縁を大切にしてきたため、彼女からのアドバイスもご縁だと捉えました。

入社したのは賃貸仲介業です。残念ながら、順風満帆に……とはいきませんでした。ただ、ここで仕事への向き合い方、お客さまへの気配りなど、営業の基礎を学べ根性もついたと思っています。

当時の勤務先の契約第一な方針に違和感を抱きながらも働いていましたが、自分の気持ちに嘘をついて働くことに限界を感じ、退職。しばらく不動産以外の業界でアルバイトを経験しました。10職種程度経験したのですが、どれもこれもピンとはこなくて。地元に戻ろうかと思っていた矢先、前職時代の先輩が就職先を紹介してくれたんです。「売買は賃貸と違うよ」と言われ、再度不動産業に戻ることにしました。

幅広い「不動産」の仕事に積極的に挑戦、経験が財産に

不動産業界での2社目は売買仲介業です。売買は一生に一度ともいわれる大きな買い物。お客さまへのご紹介前に押さえておく点や必要な事前調査など、仕事を進める上で賃貸とは異なる点が多くあり、同じ不動産でもこんなに違うものかと驚きました。しかし、なかなか契約には至らず……。一つずつ仕事を身につけ、入社半年後にやっと初契約が成立。そこからはコンスタントにご契約をいただけるようになりました。

賃貸は一日で契約が決まることが多いなか、売買は必ずしも短期決戦ではないため、お客さまとの関係をじっくり築けます。私はもともと口下手で、口がうまいタイプの営業にはなれません。田舎出身だからなのか、のんびりしていると思われることが多い人間です。ピシッとした「いかにもできる」タイプではありませんが、時間をかけて関係性を築いていく私のスタイルを好んでくださるお客さまもいる。個人的には賃貸より売買のほうが向いているように感じています。

2004年、知り合いから紹介された建売・投資用分譲会社への転職を即断します。土地や中古マンション、中古一戸建てなどを買い取り、新築分譲や中古マンションのリフォーム工事等を行って販売用商品の企画をする仕事です。「不動産」といえども領域が幅広いことを前回の転職で実感できたため、もっと新たな経験を積みたい、知りたいと思っていたさなかでの紹介でした。売れる商品の企画は興味深く、競合他社に負けない販売方法、リフォームや建築工事と多くの経験を積めました。しかし、この会社は時代の流れもあり、残念ながら解散。これからどうしようと思い、前職時代の先輩に相談に行きました。

信念に従った仕事が良いご縁を呼ぶように、独立は正解でした

先輩に勧められたのは独立ですが、自分を独立向きだと思ったことはありませんでした。カリスマ性やリーダーシップがある人こそが不動産業の社長だというイメージがあり、私には当てはまらない資質だと思っていたためです。ただ、当時私は31歳。今後も転職を繰り返し続けるわけにはいきません。一念発起し、2008年株式会社アールグランデを設立しました。

結果、案外勤め人よりも合っていると感じています。サラリーマンの仕事では、自分の意思よりも会社の方針に重きが置かれます。社員は会社の利益のため、結果を出すことを第一に求められるのが常。結果、お客さまにとっての最良が後回しになっていると感じることがあり、ずっと違和感があったんです。ところが、自分が経営者だと判断も決断も自分次第。知っている情報は包み隠さずお伝えしたいという信念に従った仕事に、誰かから文句を言われることもありません。独立後、物件の購入や売却をしてくださったお客さまが知人友人を紹介してくださることが多く、ご縁のつながりに感謝と喜びを感じました。目先の利益にとらわれなくても仕事は成り立つと実感しています。

人との縁といえば、現地販売で立っているときに看板を見て何となく立ち寄ってみただけのお客さまと話が弾み、そのまま契約に結び付いたことがありました。即日、車にお乗せして売り主の元に行ったんです。住宅購入という大きな買いもので信じられない話かもしれませんが、人との縁は本当にあるのだと思っています。

自分が代表になる事で、他の会社の社長との関わりも増えました。視野が広がり互いの強みを生かす事で、一緒に取り組むからこそできる仕事に恵まれています。

新たな挑戦も開始、喜んでもらえる仕事を続けていきます

二十年以上不動産業で働く中で、幅広い領域の経験を積んできたと自負しています。今はIT技術の進化が目覚ましく、人を介す必要がなくなる時代が来ると感じている人もいるかもしれません。しかし、条件を選択するだけでは伝えられない細かな要望や事情は、人だから汲み取れるもの。効率化できるツールを必要に応じて使う一方で、私が関わることで最良の結果をお客さまにもたらせる仕事を心掛けていきたいです。

別法人では、放課後等デイサービス事業（エミタスアフタースクール）※の運営も始めました。福祉課題には不動産との掛け合わせで解決につながる側面があると知ったのが挑戦のきっかけです。障害者の子をもつ親は、子どもが将来苦労しないようにと必死に考えています。不動産を売却することで現金を残す方法や賃貸住宅の運営等で継続的に収入を得られる手段をご提案できるケースもある。彼らに生活費を稼ぐ手段を、との思いもあり就労と暮らしを支援できるグループホームの展開も目指しています。施設には、不動産業界の課題である空き家を利用。別領域の課題を掛け合わせることで、社会課題の解決にもつなげていけると考えています。

これまで培ってきた幅広い経験を生かし、お悩みやご希望を安心してお話しいただける存在でありたい。売却には最適な販売方法を行うこと、購入では土地の地盤や建物について、例えば中古マンションのリフォーム方法など、物件に応じたご提案と知識が必要です。そのためにも、常に新たな知識を身につけ、お客さまにとってより良い結果をもたらせる仕事をしていきます。

※障害を持つ子どもたちの学童保育所のような場所