一生の仕事を見つけたい 53歳で切り拓いた、不動産エージェントの道
株式会社グリーンフィールド【港区南青山】
増井良至
- システムエンジニアから営業へ チャレンジを重ね続けた会社員時代
- 意図を探り、ベネフィットを伝える 潜在的な価値を提案するプロの矜恃
- 連絡はまめに、回答は迅速に 30年の会社員経験がもたらす安心感
- 優秀なエージェントを輩出できる 仕組みづくりを目指して邁進
システムエンジニアから営業へ チャレンジを重ね続けた会社員時代
フリーランスの不動産エージェントが集う株式会社グリーンフィールド。未経験から学べる充実した育成・サポート体制のもと、個性豊かなエージェントが活躍しています。
2020年春よりフリーランスの不動産エージェントとして始動した増井さん。不動産業界に挑戦する前から、異業種で幅広いチャレンジを重ねてきたようです。
「新卒でシステム会社に入社し、エンジニアとして5年ほど働きました。その後、会社で新設されるという営業部隊に立候補。大型案件を受注して社長賞を受賞しました。その後本社への異動を打診され、購入した新築マンションに3ヶ月しか住めずに東京へ移り住むことになったんです」
増井さんはもっと自分の実力を試せる環境で働きたいと考えるようになったそう。会社を退職し、37歳で東証一部上場のITアウトソーシング企業に営業部長として迎えられます。営業部長を6年間務めた後、営業職の育成部門の部長へ配属となる。
「その部門では、営業研修の企画や教育プランの立案に取り組みました。その後は本社勤務となり、最終的には総務部長に。全社のコスト削減やファシリティなど幅広く手がけました」
そして53歳で不動産業界に飛び込んだ増井さん。そこには、一生の仕事を早くから見つけたいという想いがあったそうです。
「この業界を選んだ理由は、不動産業の仕事は、年齢を重ねても一生できると感じたから。そこで、働きながら勉強し、2019年12月に宅建の資格をとりました。グリーンフィールドは、企業に勤めなくても個人で学べて、代表の羽生さんが気さくにサポートしてくれるところがいいなと思ったんです。『会社の看板ではなく人で売る』というスタイルも自分に合っていると感じました」
意図を探り、ベネフィットを伝える 潜在的な価値を提案するプロの矜恃
増井さんは、お客さまの要望に対してそこに潜む意図を探ることから始めるそう。言われたことにただ従うのではなく、目には見えない可能性を提示できてこそプロとして真価を発揮できるのだと語ります。
「たとえば、お客さまが『このマンションがいい』とおっしゃった時には必ず理由を伺います。決め手となったのは価格なのか、立地なのか、お子さまの学区なのか? なにが課題でどのように解決をしたいのかが見えてくれば、その条件にマッチしたより良い物件をご提案できるからです」
そんな増井さんがお客さまと接する際に重視しているのはベネフィットを伝えること。的はずれなアプローチを一方的に重ねても、お客さまの心を掴むことはできません。お客さまの目線に立ったコミュニケーションを心がけ、価値ある情報を提供できるかが鍵となると考えています。
「たとえば、『ここに窓があります』『お風呂をリフォームしました』という説明を内覧中にされたとします。でも、その情報は見れば誰にでもわかる事実でしかありません。そうではなく『台所の近くにベランダがあるので、生ゴミを置いておけますよ。ゴミの日までお部屋ににおいがこもらなくていいですよね』『お風呂をリフォームしてあるのでカビが生えにくく、小さなお子さまのいるご家庭でも安心ですよ』と伝えれば、お客さまはイメージが湧きやすくなるんです」
こうしたコミュニケーション術は、会社員時代の経験や、自身が利用客として不動産業者と対面した際に抱いた印象がもとになっているそう。常にお客さま目線を忘れない増井さんなら、思い描く理想の新生活へと力強く導いてくれそうです。
連絡はまめに、回答は迅速に 30年の会社員経験がもたらす安心感
2020年春に不動産エージェントとして始動した増井さん。初めての成約は、ローンの審査に不安を抱えるお客さまでした。
「お客さまは60代後半のご夫婦。体が不自由なお子さまのために物件をお探しでした。代表の羽生さんに相談したところ、お客さまが希望されているエリアの売主さんを紹介してもらいご成約にいたったのですが、年齢の問題でローンを組めるのか不安に感じておられたのです」
現在、多くの銀行で定められている住宅ローンの年齢制限は70歳。60代後半であれば範囲内ではありますが、年齢的に審査が厳しくなってしまうというのが実情です。不安を抱えるお客さまに、増井さんは迅速かつ親身な対応を徹底しました。
「とにかくLINEなどで連絡をまめに行ないました。実際にお伺いしたのは10回ほど。審査期間はいまどのような状況であるかを逐一報告し、不安感をなくせるようフォローを重ねました。その甲斐あって審査が通り、お客さまもありがとうと喜んでくださったことが深く印象に残っています」
増井さんは30年間の会社員生活を通して多くのノウハウを培ってきました。不動産業界は未経験からのスタートですが、ビジネスにおけるマナーやコミュニケーション術はさまざまな場面で活用できるといいます。
「問い合わせに対して迅速に確認、返答をすること。わからない時はわからないと伝えることが大切です。会社員時代はお客さまといえば企業が相手でしたが、いまのお客さまは個人の方々。それだけに些細なことでも不安が大きくなって当然なんです。だからこそ、親身になって寄り添うことで心から満足していただけるご提案がしたいですね」
優秀なエージェントを輩出できる 仕組みづくりを目指して邁進
増井さんは会社員時代、営業研修を企画したり教育プランを立案したりと、育成にも力を注いできました。なんと「研修には年間のべ四千人もの営業担当が参加したんです」とのこと。多くの悩める営業担当を導いていったのでしょう。
そんな増井さんは、万人に向けてわかりやすく実践しやすい方法を伝えていくスタイル。背中で語るのではなく、営業担当の誰もが一定の成果を得られる仕組みをつくり、浸透させるべく働きかけていったといいます。増井さんに今後の目標を伺ったところ、これまでの経験をさらに活かせそうな展望を持っていることがわかりました。
「将来的には、優秀な不動産エージェントを輩出できる仕組みをつくりたいです。いまはエージェント一人ひとりが単独で活動していますが、サポートやアドバイスが不要であるかといえば決してそうではありません。そこで、リーダーポジションのエージェントを中心に小さなグループを組み、助言やアドバイスができる環境を整えていきたいのです。そのためにも、まずは私自身がエージェントとして多くの経験を積んでいきたいですね」
現在、グリーンフィールドでは代表の羽生さんが育成プログラムの提供やサポートなどを担っています。増井さんも、「グリーンフィールドなら羽生さんのサポートを受けられることが魅力に感じた」と語ります。
しかし、将来的にエージェントの数が増加した時、第二、第三の羽生さんのようなポジションが求められる可能性が高いといえるでしょう。そんな時、第一線で活躍する経験豊富なエージェントによるサポート体制が確立されていれば、より手厚いフォローを実現できると感じました。
イイタン一問一答
出身は?
大阪府松原市です。河内と呼ばれるエリアですね。
好きな駅は?
池袋です。お祭りでもないのに普段からコスプレをしている方など、多様な人々が大勢いる刺激的な街ですね。土地開発が進んだことで環境が改善され、とても住みやすくなりました。
幸せを感じるのはどんな時?
お客さまの笑顔を見た時です。最初は不安そうにしていたお客さまが、商談を通じてだんだん夢見るような笑顔へと変わっていく瞬間がとても幸せです。不安を取り除き、夢に向かって進むための後押しができたことを実感できて嬉しくなります。
趣味は?
休日に池袋の街を散策することです。お寺や神社で春には桜、秋には紅葉などの自然を楽しんだり、オープンしたばかりのお店などを見つけては街の変化を感じたりしています。
特技は?
マウスを使わずにパソコンを操作することです。ExcelなどはショートカットキーやTabキーなどでほとんど完結させられるので、作業時間の短縮につながっています。
周りからどんな人と言われる?
「陽気な関西人に見えて、実はロジカル思考だね」と言われます。人なつっこいキャラクターと大阪弁で第一印象は勢い重視の性格に思われがちですが、実は冷静さを失わないギャップの持ち主です。
魔法が一回使えます。何をしますか?
自分自身を魔法使いにして、いつでも魔法が使えるようにします。みんなを幸せにしたいので、なんでも私に頼ってください。
好きな音楽は?
学生時代に流行したユーロビート系の音楽を聴くと、体がつい動いてしまいます。大学のサークルではディスコパーティーを主催し、1000人ほどを動員したこともあります。
好きなスポーツは?
野球です。特に高校野球を観るのが好きですね。きつい練習に耐えて頑張っている姿に胸を打たれます。私自身も中学・高校と野球部に所属し、大阪府予選のベスト4まで勝ち残りました。
世の中で一番怖い物は?
半世紀も生きていると、怖いものはあまりないです。ただ、母だけは別ですね。たまに話すとこちらの心を見透かしたような一言を投げかけられることがあり、どきっとします。
編集後記
取材中、増井さんの奥さまも近くにいらっしゃいました。好きな駅について伺った際には、ざっくばらんに回答をされる増井さんのそばで、いま住んでおられる池袋について住環境のよさをたくさん語ってくださった奥さま。子育てのしやすさなど、池袋の魅力をふんだんに教えていただきました。気さくなお二人の雰囲気はまるで夫婦漫才を見ているかのよう。お二人の人柄のよさが伝わってくる、とても和やかな取材となりました。
取材/撮影 近藤 裕也/並木 いくま
株式会社グリーンフィールド
増井良至
東京都港区南青山2-11-13 青山サクセスビル3F
1989年
関西大学商学部 卒業
1989年
システム会社 入社
2003年
コンサル会社 入社
2004年
IT会社 入社
2020年
株式会社グリーンフィールド不動産エージェントとして所属